【初心者必見】同い年のバイクを簡単レストアする楽しみ【Super Cub C70】

同い年のバイクを簡単レストアする楽しみ C70
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こんにちは、fukumomo3_Photo(@fukumomo3_HP)です。

このブログは、古いカブのレストアの楽しみ方を紹介しています。

レストアを前提で古いカブの購入を考えています。レストア初心者ですけど、カブのレストアって難しいですか?

以上のような、古いカブのレストアについてのお悩みを【HONDA Super Cub C70 1969】をレストアしている私がお答えします。

カブのレストアは難しいのか?

 先に結論を書かせていただくとカブのレストアは簡単です。

理由は、カブがHONDAのバイクだからです。例えばあなたが、海外製の古いバイクのレストアにチャレンジしようとします。サービスマニュアルを入手しようオークションなどで探しましたが見つかりません、困ったのでネット検索してみると数ページヒットしました。しかし、前文英語で日本語に翻訳しても意味がわかりにくいのです。

変わって、日本製のHONDAのカブならどうでしょう?カブのサービスマニュアルはオークションなどで入手可能です。しかも、HONDAのサービスマニュアルは細かいところまで図解付きで説明されていて丁寧です。さらに、カブファンは世界各国にいますので部品調達にも困りません。嬉しいですよね♪

したがって、カブのレストアは簡単なのです。

 今から私がレストアしている様子を画像を参考に順に進めていきます。しかしながら、細かい説明は、サービスマニュアルとパーツリストを参考にしてください。このブログでは要点と楽しさを意識して書いているからです。

このことから、サービスマニュアルの代わりになると思われている方には参考にならないブログとなっていることを、あらかじめお伝えしておきます。

では、共にカブのレストアを楽しみましょう♪

HONDA Super Cub C70 1969

 上の画像が、レストア前のヤフオクで送料込み価格60,000で兵庫県から新潟まで、2021年7月17日に連れてこられた「同い年」です。2024年現在1969年生まれの55歳なのですが、見た目より老けて見えるので、今からこの人をちょっとだけ若返らせてみます。

なんですか?このきったないバイクは?

 では、早速分解してみましょう

分解から始まるレストア

 レストアは、分解することから始まります。しかし、工具がないと何もできませんので下記のリンクから必要な工具をそろえてから始めましょう。

 レストアをするときに気をつけると失敗しない心得を紹介していますので、参考にしてください。

・工具は、そろいましたか?

・時間は、作れましたか?

・場所を、確保しましたか?

では、レストアは簡単です。共に、楽しみましょう♪

Photoさんの雑なレストアを見ながら皆で!楽しみましょう♪

エンジンを下ろす

 サービスマニュアルを見ながら、エンジンに繋がる線を全て外してエンジンを下ろしたところです。

55歳のエンジンですね・・・

きっとPhotoさんのエンジンも真っ黒なんでしょうね!

健康診断してみたところ、圧縮圧力は6キロと出ました。車種により数値の違いはありますが、4ストロークエンジンの平均は10Kg~15Kgであり、8Kgをきるとパワーダウンが体感できるほどで、5Kgをきると始動困難となります。

火花が飛んでいて混合気が送られれば始動するかもしれないけど、パワーが出ない状態ですね・・・

しかし、プラグテスターで火花を確認するとしっかりとした火花が確認できたので、電気系統は生きていると判断できました。

良い圧縮・良い火花良い混合気

この三点があれば大丈夫ですもんね!ここでは、良い圧縮と良い混合気が欠けてますね!

 エンジンの分解清掃は、後の楽しみにして先に進みます。

ホイールからタイヤを外す

タイヤレバーを使いタイヤを外したのち、ヒートガンでドラムを温めながらオイルシールとベアリングを抜きました。

ベアリングは、指を入れて回しても回らないぐらいカチカチにグリスが固着してたみたいだけど・・・交換するのかな?掃除して組み直すのかな?楽しみだね!

玉落ち注意

ステアリングステムを外して分解しているところですが、この時注意することが、「玉落ち」です。

画像では床に毛布を敷いて落ちた玉が跳ねないように工夫してありますが、分解でなくす確率No. 1の部品ですのでお気をつけください。

確実に落としたらどっか行っちゃうやつだね・・・知らないで分解するとステムナット外した瞬間に「コンコン!」って床に玉落ちするね!

外したボルトやネジは元に戻す

分解していて一番気になることは、外したネジやボルトの居場所ですよね?

私は、元の場所に仮止めします。

段ボールなどに差し込んで保管する方法もいろいろ試しましたが、元の場所に仮止めする方法が一番無くさないです。さらに、抜いた場所に仮止めするのですから同じネジが同じ場所に戻ることとなります。もっとも効率が悪かった方法が、外したボルトやナットを一つの箱にまとめて保管することでした。当然ですよね?組み直す時を想像するとわかると思いますが、まさに「宝探し状態」となります。しかし、パーツリストで確認すれば、ボルトやナットの径も記載されているので、根気よく探せば宝は見つかります。このことから、私は、二度手間になりますが外したボルトやナットを元の場所に仮止めするのです。

さらに、この方法と並行してやっているのが「スマホで写真を撮る」ことです。これには、何度も助けられましたので、かなりおすすめの方法です。しかし、分解している時は手が油で汚れていますよね?そこで私が考えたのが、使い古したスマホのカメラを分解撮影専用として使用することでした。

Photoさん!テールランプとウインカー踏むよ!整理整頓整理整頓!

とりあえずバラバラにする

ここまでバラバラにすると元に戻すことができるか心配になると思いますが、サービスマニュアルとパーツリストがあれば元に戻せますし、撮影した写真があるので安心です。しかし、カブのパーツは少なくてわかりやすかったのですが、難題がありました。フロント周りの配線などがカバーの中を通してあるのです。さらに、フレームの中に電装系が格納されているので少しだけコツのいる作業となりました。

注意深く観察しながら壊さないように分解してください。

分解するとHONDAの気持ちが少しわかる気がする今日この頃ですよ!

油とサビと汚れを落とす

 食器などを洗う洗剤で55年の汚れを落としました。

 55歳を「じっと」眺めます。

「良いヤレ感でてるよね〜」

「でも、全塗装してもかわいいんじゃね?」

「ジャイロとカブも同じ色にさ!」

「ところで?シート張り替えできるの?」

「そういえばリトルカブのシート買ったよね?」

リトルカブのかわいいシートを購入してあったことを忘れていました。

私のよくやる失敗が、【バイクが届く前に必要のないものを買う】これです。あなたもやりませんか?落札したバイクの画像を見ながらあれやこれや考えて「あれも必要やな!」と事前購入してしまうあれです。そして、現車が届いたとき合わないのです。何度も失敗しているのですが、このときも、やってしまいました。

現車を確認してから部品は購入しましょうですね・・・

赤錆さんから黒サビさんへ

思い立ったが吉日です。

シートに似合うカラーで55歳を全塗装することに決定しました。

ここで一番大切なことは、「いちいち後先のことを深く考えないで直感を信じる」ことです。しかし、赤錆の上から塗装をしても間違いなく赤錆は中から塗装を打ち破ります。そこで使用するのが、錆転換剤です。

気持ちの良いぐらい全てに錆転換剤を刷毛で塗りました。

 錆転換剤を塗る前の下処理は、スチールタワシなどで赤錆の表面を全て除去することです。理由は、赤錆が深く進行している箇所に、錆転換剤を塗っても錆転換剤が浸透しないからです。さらに、深く赤錆が進行している場合は、進行箇所をサンダーなどで削り下地を出し、その上から錆転換剤を塗れば浸透しやすくなります。

しかし、錆転換剤を使用して黒サビに変えても、絶対に赤錆が発生する可能性がなくなるわけではないです。このことから、私のように面倒だからと錆転換剤を塗っての全塗装はおすすめしません。できることなら全ての塗装を剥がしたのち赤錆を除去し、下地をきれいに作ってからの全塗装をおすすめします。

「お!塗装した上から赤錆さんが湧いてきたね! シャビー感でるね〜」

と、おかしな感覚な人は、迷わず錆転換剤の上から全塗装してください。

そんな人いないよ・・・

塗料はタカラ塗料で決まり

 赤錆から黒サビへ転換したので、色を塗るのですが、あなたなら何色を塗りますか?とても悩みますよね?

私は、タカラ塗料の「ミントシャーベット」に決まりです。

いつもの色やん・・・ガレージのドアもミントシャーベットやしね〜

 タカラ塗料をおすすめする理由は、3つあります。

おすすめ理由
  1. つや消しが、「かっこいい」
  2. カラー豊富で、「かわいい」
  3. コンテスト参加、「たのしい」

つや消しが目立たない理由や「かっこいい」「かわいい」実例などが紹介されている「たのしい」タカラ塗料のホームページは⬇︎から

参考になれば幸いです。「古いバイクを全塗装する失敗しない10の心得」⬇︎

色選びに悩んだときは、タカラ塗料さんの実例をみるとイメージが湧くよ!

後の面倒より先の手間

分解したネジを元の場所にと記載しましたが、この塗装するときにも役に立ちます。理由は、ネジ穴にネジを入れてないで、そのまま塗るとネジ穴の中まで塗料が入り込んでしまうからです。

さらには、ネジを外したあと元の場所に戻しておけば、組み立て作業は容易になります。このとき気をつけることは、面倒でもしっかりとネジを締めておくことです。理由は、軽く止めておくとネジが落ちるからです。落ちたら最後見つかりませんので、お気をつけください。このことから、後の面倒より先の手間をおすすめします。

ボルトの頭も塗れて一石二鳥ですね!

隅々まで塗れる喜び

 全て分解しての全塗装は、気持ちが良いです。理由は、フレームの中まで塗料を流し込み塗装ができるからです。このことから、サイドカバーを外してもミントシャーベットですし、下から見ても横から見てもミントシャーベットなのです。嬉しいですよね♪

フレーム内の錆び対策としてもいけてますよね!

メインハーネスを先に通す

 通電確認をして、巻き直しをしてあったメインハーネスを通すのを忘れて組んでしまいました。理由は、早く完成した姿を見たかったからです。このことからも、時間を作るが大切なことがわかります。しかし、何度も何度も繰り返し55歳を分解することができたおかげで、分解を図解なしでもできるようになり、ボルトがバラバラになったとしても正しい場所に戻すことができるようになったのです。このことから、失敗は成功の元と言えるでしょう。

物は言いようやな・・・

組み立ての楽しみ

 忘れずに、サスペンションなどの可動部分にグリスアップしましょう。理由は、忘れると「キコキコ」と音がしてカッコ悪いです。

セスペンションを上下させると「キコキコ」鳴くのかわいいいと思うんだけど・・・ダメ?

 55歳が若返り17歳ぐらいに見えませんか?ここで需要になるのがウインカーレンズなどの劣化です。理由は、全塗装した車体と合わなくなるからです。新品のスーツに雑巾のネクタイをしているぐらい違和感を感じますので、できる範囲で新しいものと交換すると若返ります。

新品のドレスに長靴な感じ?そりゃこっけいやね・・・

 行灯は新品も手に入るのですが、新品のスーツにクラシックな指輪もアクセントになると思い交換しませんでした。

「買い忘れました」と、はっきり言えばかわいいのに・・・

レッグシールドの歪み矯正

 55歳は、初めからレッグシールドがない状態で兵庫からやってきました。ない状態でもかっこいいのですが、ミントシャーベットを選択した時点でレッグシールドがないと私のイメージが完成しません。そこで、新しいシールドを購入したのですが、歪みが酷かったのでヒートガンで直します。

歪みをヒートガンでゆっくりと温めながら直して組みました。かわいいですね♪

ヒートガンは高温です。一点に集中すると溶けますので注意してください。

ヒートガンって!レストアするとき以外に、いろいろと使えるから持ってると便利だよね!

流石のHONDAエンジン

 気になっていたキャブレターを清掃してエンジンオイルを入れ替え始動してみたところ圧縮圧力が6Kgでしたが、キック数回で始動しました。

流石、HONDAエンジンです。

水没しても水抜けば始動するもんね!HONDAエンジンさん

壊れたスピードメーター

 スピードメータは、軸の部分が振動で壊れていたので、違うメーターの機械を移植して直しました。この明細は、ブログで紹介する予定です。

かなり強引でマニアックな直し方ですよ?参考にならないと思うけどな!

鉛バッテリーをリチウムイオンバッテリーに変更

 55歳のバッテリーは、鉛の6Vですが、試しで、リチウムイオン18650バッテリー3.6×2=7.2Vに変更しました。充電すると思いますが、エンジンを始動していないのでわからない状態です。通電テストもかねて試験的に装着しましたが、実走行では、危険ですので真似しないでください

しかしながら、通電テストをするだけならば、ウインカーやウインカーリレーの確認が容易になるのでとても便利です。

セレン整流器が懐かしいですね!

リトルカブのシートは穴の位置が違う

 55歳にリトルカブのシートを「ぽん付け」はできませんが、⭕️の位置を変更するだけで装着可能です。しかし、若干シートが深いのでサイドの「スーパーカブ」のエンブレムが隠れます。

このシートの色が気に入ったからミントシャーベットなんだもんね!

まとめ

 外装が完成しました。

きったないバイクが、かわいくなってる!

今回のレストア箇所は、以下の17点です。

今回のレストア
  1. ミントシャーベットに全塗装
  2. メインハーネスの巻き直し
  3. 赤錆除去からの黒錆転換
  4. タイヤとチューブ交換
  5. バッテリーを7.2V化
  6. レッグシールド装着
  7. キャブレター清掃
  8. 燃料タンクの清掃
  9. バックミラー装着
  10. ベアリング清掃
  11. ブレーキ清掃
  12. メーター修理
  13. ワイヤー注油
  14. チェーン清掃
  15. グリップ交換
  16. シート交換
  17. 電球交換

 

交換した部品と価格

交換した部品のリンクと価格です。

交換した部品の価格

 約2万6千円でここまでできました。このことから、ベアリングやオイルシールを新品に交換したとしても約プラス1万円です。したがって、外装のレストアならば4万円の予算でレストアできると断言します。

車両代60,000+40,000=100,000

あなたが、55歳前後の年齢であれば、10万円で同い年と仲良くなれるのです。

もし、2台目や3台目のバイクを検討しているのならば、あなたと同じ年に生まれたけれど、乗られなくなり朽ち果てようとしているバイクの保護を検討ください。きっと、忙しい日常で忘れた何かを思い出させてくれ、初めてバイクに乗った時の感動がよみがえり、バイク雑誌を読みあさっていた、あのワクワク感が戻ってきます。

長々とお付き合いありがとうございました。最後まで読んでいただいたことを心より感謝いたします。

ありがとうございました。。○

おまけエッセイ 第一話【同じ年】

 長年勤めた運送業界と別れを告げ個人事業主と主夫をスタートさせた冬が終わるころ、ガレージと作業小屋に並べられた古いバイク達を眺めながら「同い年のバイクないよな?」と疑問が浮かぶ。皆の誕生年は大体わかっているのだが、少し調べてみた。一番古いバイクは、富士重工製のラビットS310だが、その年式が気になり調べると1965年生まれで、次に古いバイクは、1972年のYAMAHAのGT50ミニトレだった。しかし、1965年〜1972年の間1966年〜1971年の間の1969年が抜けている。ちなみに、私の生まれ年は1969年だ。個人事業主と主夫を始めたことがきっかけではないが、なんとなく「同い年のバイク」が気になり出す。気になり出すと気になるので、調べ続けること数週間、二台の候補があがる。それは、HONDA CB750F0URとYAMAHA XS1-650だった。しかし、CB750は、個人事業主を開業して主夫で会計を預かる身としては「OKサイン」は出せない価格だが、私の中の個人事業主は「これから稼ぐから買っちゃえば?」と言ってくれた。しかしまた、主夫の私の「とんでもない!今一番大変な時です!」の言葉から一瞬で却下される。二台目の候補のXS650は、主夫の意見も少しだけ寛容になり「出せないこともないけど・・・置く場所あるの?」と資金問題よりも切実な場所問題を上げてきた。この主夫の戦術は巧妙だった。個人事業主の私が「大丈夫!なんとかする!」といった曖昧な子供の言い訳のような返答しかできなないとわかっていたのだろう、個人事業主の私の敗北と終わり次の同い年のバイクを探す旅に出た。

 オークションサイトで、「1969 バイク」と検索する。出るには出るが、いまいち「ビビビィ」っとこない。そこである想いが浮かんだ。「死んだ母のカブってあれ何年式や?」すると、懐かしい記憶とともに、わりと鮮明な映像とともにカブ90が浮かぶ。それは、母がなれないバイクの後ろに小さな私を乗せ、緊張しながらギアを入れた瞬間、車庫から道路を一気に突っ切り前の山に突っ込んだ記憶映像だ。昭和の車通りの少ない田舎道なのでなんてこともない笑い話の記憶であるが、今の道路事情であれば危険だったと思う。しかし、私の中に残る大切な母との映像記憶なので、これを使わせてもらうこととした。

 ネットでカブの歴史を探る。すると1969年にC50行灯カブが発売され、その年ボアアップされたC70があることを知った。母が小さな子供を後ろに乗せ道路を突っ切り山に突っ込んだバイクはC90なので残念ながら1968年生まれで私より一つ年上となる。記憶映像の中のC90がかなり鮮明でインパクトがあるので一瞬C90でいいかとも思ったが、やはり「同い年」のバイクと暮らし、今現在同い年のバイクがどのような状態で生きているかを知りたかった。

 「同い年」のバイクの車種は決まった。「HONDA スーパーカブ C70」である。しかし、C70も歴史がある。そこで、C70の中でも1969年生まれの「行灯カブ」を探すこととなった。探す場所は、いつものネットオークションである。「カブ 70 行灯 車体」と検索すると数件ヒットした。全ての車両は予算内で落札できそうだが、いまいち「ビビビィ」っとくるバイクがない。別のオークションで再度検索してみると、さらに数件出てくるが、「ビ」ともこない車両ばかりで、「同い年」のカブへの情熱が消えそうである。そりゃそうだ、もともと私は、カブのことが特別好きでも嫌いでもなく、ただ記憶映像の中のバイクがカブ90であり、たまたまその翌年販売されたカブ70が1969年式だったということだけだからだ。そう、探している理由は、「同い年」これだけである。

 なかなか見つからないので、「行灯カブ」これだけで検索する。すると、みるからに農作業で使われ爺さんが農道をトコトコ走ってお役御免となったであろう行灯カブがヒットした。説明の文章からはバイクへの愛情のかけらも感じなかったが、なぜか「私が助けるのはこいつだ!」と思えた。思えたので即メールで確認後、落札ボタンをタップする。いつも通り直感である第一システムに従うスタイルは変わらない。別にカブに乗りたくて「同い年」を選んだわけではないので、それほど待ち遠しくもなかったが、思いの外早く兵庫から新潟に到着していた。その日は、仕事で遅かったので確認は翌日の朝になった。朝いつも通りコーヒーを飲み日記を書きいつも通りの動きをしていてふと「同い年」を思いだした。忘れていたのだ。ゆっくりとガレージの前に止めてある「同い年」を見る。昨夜は暗かったのでわからなかったが、オークションの画像通りの「やれ感」を通り越した、きったない「同い年」がそこにあった。

 タイヤはホイールから外れ、シートは朽ち果て、シールドは無く、キックを軽く踏むと、とても軽くするりとおりた。第一印象は、「同い年やれ過ぎだろう」だった。実際のところ私自身も側から見れば「やれてるね」と言われると思うので、あまり「同い年」の悪口を言うのはやめておくと決めた。「同い年」が我が家のガレージに来て数日がたった。いや数日ではない。数年である。やはり、「同い年」に興味があっただけでカブに興味があった訳ではないので、私の視界から消えていたのだ。しかし、あるとき時間を作らなくとも時間ができた。それは、XLR250BAJAを改造していた時の部品が海外から届くまでの2週間だ。やると決めたら早い。XLRを作業小屋からバイク小屋へ移動して、「同い年」を作業小屋へ連れてきた。

 じっと眺める。最初見た時よりも見慣れたのか、「やれ感」を通り越した、きったない「同い年」は、ちょっと良いやれ感に変わっている。人の感情などその時で変わるのだなと思う。ちょっと「同い年」に興味が湧いてきたので、かなり前に調達しておいたマニュアルとリストを見ながら分解をはじめた。分解していて一番最初に感じたことは、「同い年」が大切にされていたことだった。サイドカバーを開けると丁寧に収納された車載工具があり、そのなかから丁寧に折りたたまれたウエスが発見される。ハンドルを開け中を見ると丁寧に整備された後があり、グリスは固着していたが充填はされている。ある時バイク屋が新しいバイクを勧めた。爺さんはいい人なので「わかった新しいのをこうたる!」と酒を飲みながらバイク屋に伝える。しかし、気になった爺さんは、丁寧に折りたたまれたウエスでオイルのにじみを拭きながら「お前さんには長いこと世話になったが、今日までだよ・・」と言われたのが最後だと「同い年」が語った。

 「同い年」の気持ちが伝わったので、とても迷ったが「良いやれ感」をやめ、ガレージカラーであるミントシャーベットとマッドホワイトで全塗装することに決定。シートはあらかじめ買ってあるリトルカブの「かわいいシート」である。しかし「かわいいシート」を「同い年」の上に乗せてイメージしたが、流石にきたなすぎるのでイメージがわかない。とりあえず分解して清掃が第一と考え作業を進める。ホイールからタイヤは外さなくても外れていたので簡単だ。ホイールも全塗装するのでブラストに入れ軽く赤錆を落とした。ブレーキワイヤー関係は少し注油して動きをよくしてから保管する。エンジンは、後の楽しみとして汚いまま保存し、キャブレターは気になったので、クリーナーに漬け込みきれいにした。バラバラになった「同い年」は赤錆が発生していたが、年齢的には当たり前の程度だ。中性洗剤を使い金属タワシとサンダーを使い赤錆を除去した後、黒錆びに転換する塗料を全体に塗る。作業小屋にぶら下がる真っ黒になった「同い年」を眺めながら「かわいくしてやるから覚悟しとけ」と話しかけた。

 つづく

文章力をつける目的で私の車やバイクとの付き合い方を小説風に書いています。読みにくい文章に耐え最後まで読んでくださり心より感謝いたします。

今後書き続ける決意を込めて掲載しました。

fukumomo3_Photoより

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