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こんにちは、fukumomo3_Photo(@fukumomo6_com)です。
ミニトレさんの心臓部に手を入れる時がきた。
工具を片手に作業するたび、40年前の記憶がフラッシュバックする。
ミニバイクレースに夢中だったあの頃、ガラス面に耐水ペーパーを敷いてシリンダーヘッドを削り、ポート研磨で手を血まみれにしながらも磨き続けた日々。
あの時の自分と、今の自分が交差する。
13歳の自分に「楽しみだろ?」と問いかけると、返ってきたのは「心配です」「自信がないです」「壊しちゃいそうです」だった。
「蘇るミニトレ|GT50と私のレストア物語」

第二話:エンジンを開けたら、40年前の記憶が蘇った
ミニトレさんの心臓部であるシリンダーヘッドを開けた。2ストを分解するのは初めてではないが、とても久しぶりなのでドキドキする。この時のためにこっそり揃えた安い基本工具一式を眺めながら使えないけどケースが欲しかったんだと自分を慰め、ケースから10番レンチを取り出しシリンダーヘッドのボルトを緩める。全て緩め少し力を加えるとシリンダーヘッドが外れピストンの頭が顔を見せた。思いの外ピストンはキレイで「おまえ何年寝てたんだ?」とミニトレさんに問いかける。シリンダーをプラスチックハンマーで「トントン」と優しく叩きシリンダーを引き抜く、ピストンが丸見えで、まるで自分のピストンが丸見えになっているように感じ少し恥ずかしい、シリンダーを覗き込むとクロスハッチが消えピストンリングで長年研磨され磨かれたのであろう、私の顔が映る。しかし、立て傷がなくほっとした。
シリンダーは良好と判断できたので、そっと仮止め程度に組み直し元に戻す。次に気になるキャブレターを開け中を確認した。すると、2ストオイルとガソリンが固着し、みたこともないような新種の苔かと思われる植物が育っていた。想定よりもキャブレターの中は酷かったので、キャブレタークリーナーにガソリンを混ぜキャブレターには昼寝してもらう。その間にタイヤやら何やら点検したが、タイヤのベアリングなどは全て分解清掃しないとだめだと判断できた。バッテリーは、水すら入っておらずプラスチックの箱だけになっていた。しかし、嬉しいことに「YAMAHA」と書かれた車載工具がシートの裏側からでてきたのである。そろそろニコニコしながら点検という名の視姦ゴッコはこれまでにして、1〜2時間ほど経過したキャブレターを混合液から取り出し灯油で洗浄してからボックスに保管した。
2ストエンジンを分解すると40年前を思い出す。80年代ごろミニバイクレースが流行っていた。それに参戦するバイクのシリンダーヘッドをガラス面に耐水ペーパーをのせて一生懸命少しでも圧縮比が高くなるように削った記憶と、さらに、ポートを紙やすりを使い、手から出る血と混ぜながら磨いた40年前の記憶だ。2ストの構造が簡単で単純なことから、金の無いプライベーターでも頑張り次第では、ワークスに迫ることができた。空冷2ストから水冷2ストへ移行してもプライベーターの中から凄いやつが先頭を走れたのは、2ストのおかげだと思う。
普段は、仕事をしているので、週末のわずかな時間がミニトレさんとの時間となる。ところで「レストア」の定義はなんだろうと疑問が浮かんだ、私の中の定義はこうだ。
1.全部バラバラにする
2.消耗部品を交換する
3.グリスアップする
全て分解して、点検しながら消耗部品や壊れている箇所を元どおりに組み立てながら可動部分はグリスアップする。これが私のレストアの定義なのだが、不思議なことに「劣化した塗装を塗り替える」といった項目はない。これは、いたって単純で、私が塗装が苦手であり面倒だからだと言うことと、当時の「ヤレ感」を大切にしているからだと思う。といえば聞こえはいいが、やはり面倒だから塗らないのだ。
シリンダーとキャブレターの点検をして安心したので、ゆっくりとミニトレさんの横に座り計画を練る。レストアの定義の一番最初にあげた「全部バラバラにする」この全部バラバラにするは、読んで字の如くである。フロントフォークに締め付けられているネジ一本からシートのネジまで全てにレンチやドライバーを合わせ回転させ分解すると意味する。バイクのレストアを夢見た13歳の自分に「楽しみだろ?」「楽しいだろ?」「ワクワクするだろ?」「ドキドキしろよ?」と話しかけた。しかし、帰ってきた言葉は「心配です」「自信がないです」「壊しちゃいそうです」だった。心配する13歳に「大丈夫今なら場所も時間も金もあるし、一番欲しかった経験もたくさん持ってる」そうなだめると、13歳は、おとなしく「作業をみて勉強するよ」と言ってガレージの隅で体操座りをした。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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