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こんにちは、fukumomo3_Photo(@fukumomo6_com)です。
野営の朝は早い。
というより、バイク乗りの朝はなぜか早い。
せっかちだからかもしれないし、日の出とともに動き出す旅の本能かもしれない。
それでも私は、出発前にカメラを手にする時間だけは欠かさない。
いつだって「何かを残しておきたい」と思っていた。
この日もまた、カメラ片手にBAJACOに「おはよう」と声をかけ、旅が再び動き出す。
「単気筒の衝動|XLR250BAJAと私の物語」

第四話:かっぱえびせんと、飛び立つフェリーの朝
野営の朝は早い。というよりもバイク乗りの朝は早い。「バイク乗りはなぜ皆早起きなのだろう?」と考えてみる。私の思うところ『バイク=早い乗り物』なのでバイクを好んで乗る人種は、きっと”せっかち”なのだと思う。私が、せっかちなので間違いない。せっかちなのだが、写真撮影は忘れない、この頃『バイク=カメラ』だった。なので、どこへ行くにもカメラを持っていった。というか、『私=カメラ』だったかもしれない。きっと何かを残したくて必死だったのだろう。写真を撮影してブログを書いての繰り返し。これは、トラックの運転手の時から変わらない習慣。
写真撮影とブログ投稿を終えて、BAJACOのところへ。朝露に濡れる彼女がちょっとだけセクシーだった。優しく袖で朝露を拭き取る時、声をかけた。「今日もよろしくね」とシートをポンと叩いてまたがる。チョークをひっぱり右足を上げ、いつの位置までピストンを誘導してから、キック。「ボンボン、ボーー」と乾いた音が響いた。いつもながらの一発始動が愛おしい。シリンダーヘッドを触る。まだ冷たいのでチョークを少しだけ戻して様子を見る。タイヤなどを点検したあと再度ヘッドを触ると、ほんのりとあったかい。チョークを戻し少しアクセルをひねる。「ボン!、ボボン」BAJACOに「おはよう」ともう一度声をかけて待機してもらう。
昨晩炊いたお米で作ったおにぎりを食べながら、書いた記事をチェックする。滅多にコメントが入らないブログだが、コメントが入っていた。「絶対に楽しいやつですね!」との嬉しいコメントだった。承認欲求も満たせたので、ご機嫌でBAJACOのところへ行きリアシートに、意味なく重たい荷物を毎回「どうやってつんだの?」と自分に問いかけながら縛り付けた。
フェリー乗り場までは、近い。乗り場のレーンを確認して「バイク専用レーン」にBAJACOを止め、周りを見渡す。天気は上々、風もない、先日の嵐が嘘のようだ。カモメが空を飛ぶ、どこからか鳥の鳴き声が聞こえ、その声とともに優しい風が頬を触る。BAJACOのお尻を触りながら「きてよかったね」と一人ニコニコしている。きっとBAJACOもよかったと感じている。しばらくすると、汽笛の音が聞こえた。フェリーだ。遠くの方からフェリーがこっちに向かって進んでくる。徐々に大きくなるフェリー。よくわからないが、涙が出た。
バイクレーンの先頭に並んでいた。その後ろには、数台のバイク。と言いたいところだが、後ろには誰もいなく、横に佐渡島の住民の方々の車が数台並んでいるだけだった。先導してくれる係の人の指示に従いBJACOを指定場所に停める。私ですらまだ、縛ったことの無い場所にロープを回しBAJACOを固定した。ちょっとだけ、いや、かなり、嫉妬。でも、すごいテクニックだったので、そっと観察した。見ていて、ちょっとだけ興奮したのはBAJACOには内緒。
BAJACOが固定されたのを確認したので、安心して、甲板に上がる。楽しみにしていた「カモメと私とかっぱえびせん」である。甲板に上がると販売している思っていたが、売っていなかったので、売店まで降りカモメ用と自分用と二袋を購入。若干スキップ気味に歩き、階段は二段抜かしで登り甲板に戻る。”かっぱえびせん”の袋を開けて、ちょっと照れながら晴天の雲が一つぐらいしかない空に一本のかっぱえびせんを掲げる。
誰も来ない。一羽のカモメもカラスも来ない。周りを見渡すと誰もいない。「噂は、嘘か?」とちょっと寂しくなった。カモメにあげる”かっぱえびせん”を一口食べながら少しだけいじけていると、フェリーのエンジン音が大きくなり、後方のスクリューが回りだした。その音と水しぶきとともに現れた。カモメである。このカモメたちは、フェリーが動いているときじゃないと行動しないようだ。あわてて、”かっぱえびせん”を空高く掲げる。一羽のカモメが勢いよく飛んでくる。手に触れるか触れないかのギリギリの距離を保ちながら”かっぱえびせん”だけを掻っ攫っていった。「きゃ〜」一人はしゃぐ。何度も何度も繰り返しながら「きゃ〜」と一人騒ぐ。だって、誰もいないのだから気にしようがない。
一袋が空になる寸前、後方に気配を感じた。振り向くと一人の男性が、目をキラキラさせながら「すごいですね!」と言ったので、「いっぽんいかがですが?」と”かっぱえびせん”を手渡した。手を天高く掲げる男性。手に触れるか触れないかで、掻っ攫うカモメ。目を見合わせて「楽しいね〜」と意気投合する二人。”かっぱえびせん”二袋、数分のイベントだったが、今まで生きてきた中で指折りの体験だったと思う。男性も目をキラキラさせながらきっと同じことをブログに書いたと思う。書いていればの話だけど。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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