単気筒の衝動

単気筒の衝動|シンプルな鼓動に魅せられて 単気筒の衝動

単気筒の衝動|シンプルな鼓動に魅せられて

エンジンの鼓動がダイレクトに伝わる単気筒。

必要最低限のパワー、シンプルな構造、それが単気筒の魅力だ。

アクセルを開ければ、一本のピストンが生み出すリズムが身体に響く。

街を流すのも楽しい。

山道を駆け上がるのも気持ちいい。

どんなシチュエーションでも、単気筒はライダーに「走る楽しさ」をストレートに伝えてくれる。

このカテゴリーでは、XLR250BAJAのエピソードを綴っていく。

彼女と出会い、走り、カスタムし、時には故障と向き合う。

そんな「単気筒との日々」をここで記録していく。

シングルシリンダーのバイクに魅せられた者なら、きっと共感できるはず。

単気筒の衝動に突き動かされるすべてのライダーへ。

BAJA

「単気筒の衝動|XLR250BAJAと私の物語」第二十九話:蟻の巣とたぬき穴のあいだで

四月の坑道で、ひんやりした空気を吸い込む。指先には、子どもの頃にふさいだ蟻の巣の感触がよみがえる。たぬき穴の小さな闇の向こうに、岩を掘り進んだ人たちの息づかいを探す。遠くで滴る水音だけが、過去と今をそっとつないでいた。
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「単気筒の衝動|XLR250BAJAと私の物語」第二十八話:気配に振り向く金山で

地上の光を背中に置いて、静かな穴倉へ降りていった。滴の音と蝋人形の沈黙が、時間の針をゆっくり鈍らせていく。誰もいないはずの背中に、気配だけがそっと寄り添ってくる。坑道の静けさの中で、“やればできる”という自分の言葉を、そっと握り直してみた。
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「単気筒の衝動|XLR250BAJAと私の物語」第二十七話:明るいけれど暗い坑道で

佐渡金山の坑道に足を踏み入れると、単気筒の鼓動はあっさりと外に置いていかれる。聞こえてくるのは、蛍光灯のうなりと、自分の長靴が鳴らす「きゅっ」という足音だけ。明るいけれど暗い、湿った空気の廊下を、蝋人形たちの視線を借りながら少しだけ遡っていく。
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「単気筒の衝動|XLR250BAJAと私の物語」第二十六話:看板の波、山の入口へ

佐渡を走っていると、海や山より先に目に飛び込んでくる。コンビニの黄色、しまむらの白い文字、観光地の案内板。単気筒の鼓動と並走しながら、その一枚一枚が「こっちだよ」と島の奥へ手招きした。
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「単気筒の衝動|XLR250BAJAと私の物語」第二十五話:水際のまばたき

潮の匂いが薄く満ち、佐渡の空はまだ低い。単気筒の鼓動は手袋の内側に残り、相棒は静かに息をひそめる。守るための暗さに慣れると、水際でひとつ、白いまばたき。きょうは、あの瞬きに導かれて走った小さな旅の話。
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「単気筒の衝動|XLR250BAJAと私の物語」第二十四話:新館の影、作りものの嘴

看板の縁がかすかに鳴り、曇りの白が靴のゴムだけを照らす。折り目のついたパンフが指に乾いた音を置き、風は言葉を運ばない。新館の影に、作りものの嘴が静かに光る。名を呼ばない距離のまま、呼吸だけをそっと合わせた。
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「単気筒の衝動|XLR250BAJAと私の物語」第二十三話:長靴と朱鷺の距離

曇りの朝、ガラス戸の取っ手だけが白い。長靴の口に冷気、ポケットには折り目のついた地図。金網の向こうで、白い気配が一度だけ揺れた。届かない距離ごと、今日は静かに受け入れて歩き出す。
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「単気筒の衝動|XLR250BAJAと私の物語」第二十二話:峠を外す余白

薄い雲の下、単気筒は膝で小さく数える。ビニールで包んだナビは黙り、風だけが道を指す。合っているかどうかより、外してみたい朝。峠の手前に、余白がひとつ置かれていた。
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「単気筒の衝動|XLR250BAJAと私の物語」第二十一話:雲の縁とビニールの儀式

雲の縁で空が二つに割れ、海は青く山は黒い。指先に塩むすびの温度、膝には朝の冷え。ビニールの口をひとつ、ふたつ――今日の儀式。鍵を立てると、BAJACOが小さくうなずいた。
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「単気筒の衝動|XLR250BAJAと私の物語」第二十話:干しイカ、炎、そして小さな後悔

赤く息づく網の上で、干しイカがゆっくり反る。青い炎は低く、酒器の口に夜の匂いが集まる。一口の北雪で肝がほどけ、舌に小さな火傷が残る。今夜の後悔はただひとつ――もう少しだけ、飲みたかった。