ボクサーツインの誘惑

ボクサーツインの誘惑|鼓動とともに生きる物語 ボクサーツインの誘惑

ボクサーツインの誘惑|鼓動とともに生きる物語

「ボクサーツイン」という名の魔力

それは、一度ハマると抜け出せない魅力を持つ。

エンジンをかけた瞬間に感じる左右対称の鼓動。

アイドリングでさえも、ボクサーツインのリズムには独特の重厚感がある。

そして、アクセルをひねれば、横に揺れるトルク反動。

そのクセの強さが、乗るほどに愛おしくなる。

このカテゴリーでは、BMW R100RSをはじめとするボクサーツイン搭載のバイクとの日々を綴る。

出会いの瞬間、試行錯誤のメンテナンス、峠を駆け抜けた思い出

すべてが、このエンジンの鼓動とともにある。

ボクサーツインを愛する者の物語、ここに始まる。

BMW

「ボクサーツインの誘惑|R100RSと私の物語」第二話:またがると凄い彼女、衝撃の出会い

メールのやりとりが妙にスムーズだった。まるで付き合い始めたカップルのように、出品者と私の間で交わされるメッセージは無駄がなく、返信も早い。「予備車検完了」の報告が届いた瞬間、私は次のメールを打ち始めていた。「都合のいい日時を指定してください。」その一文を見て、胸が高鳴る。あの「またがると凄い彼女」に、ついに会えるのだ。引き取り場所は静岡県のオートバイ屋。整備も済み、車検も通った状態で待っている。あとは私が迎えに行くだけ。10年ぶりに乗る電車の振動が、妙に心地よく感じられた。ヘルメットを片手に、グーグルマップを頼りに歩く。目の前にシャッターが閉まったオートバイ屋が見えてきた。この扉の向こうに、彼女がいる。
BMW

「ボクサーツインの誘惑|R100RSと私の物語」第一話:かつて“かっこ悪い”と思ったバイクが、今の私を魅了する

ヤフオクを眺める。特に探しているバイクがあるわけではない。ただ、小屋裏付きのバイクガレージを作っている勢いで、新しい相棒を迎えたくなっていた。そんな時、目に飛び込んできたのは、かつて「かっこ悪い」と思ったBMW R100RSだった。1981年、13歳の俺にとって、それはどう見てもスマートじゃないバイク。ヒンズースクワットしながら乗るみたいなスタイル、無駄にデカいカウル、長すぎるシート——だが、40年後の俺は、その姿に目が釘付けになっていた。