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「単気筒の衝動|XLR250BAJAと私の物語」第二十一話:雲の縁とビニールの儀式

雲の縁で空が二つに割れ、海は青く山は黒い。指先に塩むすびの温度、膝には朝の冷え。ビニールの口をひとつ、ふたつ――今日の儀式。鍵を立てると、BAJACOが小さくうなずいた。
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「単気筒の衝動|XLR250BAJAと私の物語」第二十話:干しイカ、炎、そして小さな後悔

赤く息づく網の上で、干しイカがゆっくり反る。青い炎は低く、酒器の口に夜の匂いが集まる。一口の北雪で肝がほどけ、舌に小さな火傷が残る。今夜の後悔はただひとつ――もう少しだけ、飲みたかった。
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「単気筒の衝動|XLR250BAJAと私の物語」第十九話:青い炎の間合い

青い炎が小さく脈を打ち、テントの裾で風が応える。ノブをわずかに絞るたび、温度と時間の間合いが手に戻る。イカの肝がはぜ、北雪が舌をほどく。今夜は撮らず、ただ焼いて、ただ聴く──炎と海の呼吸を。
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「単気筒の衝動|XLR250BAJAと私の物語」第十八話:封をする手、火を守る音

幕を撫でる風の薄い手と、ドラゴンフライの細い唸り。湯気は橙にほどけ、濡れた指先に塩と米の匂いが残る。封をする手が、旅の区切りをそっと告げる夜。相棒は柵にもたれ、海は低く息をひそめている。
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「単気筒の衝動|XLR250BAJAと私の物語」第十七話:柵の助け、一杯、そして一投

単気筒の鼓動はまだ掌に残り、BAJACOは静かに息をひそめている。佐渡の空は浅い青、潮と雨の匂いがテントの口元にたまる。柵に預けた相棒と、角の一杯、そして海へ放つ一投。
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「単気筒の衝動|XLR250BAJAと私の物語」第十六話:灯のほうへ、湯のほうへ

海の匂いが、まだ冬のかけらを含んでいた。潮風は頬を撫でるたび、冷たさよりも記憶を残していく。雹が過ぎた空の下、エンジンの音だけが確かなものとして続いていた。その先に灯が見えたとき、私は湯のぬくもりを思い出した。
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「単気筒の衝動|XLR250BAJAと私の物語」第十五話:鉛の空、雹の合図

海を渡る風は、まだ冬の匂いを残していた。エンジンの鼓動が、どこか遠くの波と重なる。旅の二日目、空はすでに色を失いはじめている。静けさの奥で、何かが降りてくる気配がした。
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「単気筒の衝動|XLR250BAJAと私の物語」第十四話:晴れ間と長靴の不在

海を離れるたび、静けさのかたちが少しずつ変わっていく。風は背中を押すでもなく、ただ流れていく。エンジンの鼓動が遠のくたびに、時間が音をひとつ手放していく。その先に、まだ見ぬ景色が待っている気がした。
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「単気筒の衝動|XLR250BAJAと私の物語」第十三話:白い橋、音のはざま

海を離れるたび、静けさのかたちが少しずつ変わっていく。風は背中を押すでもなく、ただ流れていく。エンジンの鼓動が遠のくたびに、時間が音をひとつ手放していく。その先に、まだ見ぬ白い橋が待っている気がした。
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「単気筒の衝動|XLR250BAJAと私の物語」第十二話:島に響く静かなリズム

島に渡ってから、心の中にひとつのリズムが生まれた。それは、風と同じ速さで鼓動し、やがて静けさに溶けていく。エンジンをかけた瞬間、その音がまた私を過去へ連れていった。