単気筒の衝動

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「単気筒の衝動|XLR250BAJAと私の物語」第九話:おけさばし、島の流れにのる

次の港へ急ぐわけでもないのに、胸の中だけが少し前のめりだ。雨の名残を踏むたび、BAJACOの鼓動が島のリズムに合っていく。地図よりも風向き、標識よりも潮の匂い。今日の道は、身体で覚えるつもりで走る。
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「単気筒の衝動|XLR250BAJAと私の物語」第八話:反時計回り、湧水の一杯

夜の名残を踏みしめながら、エンジンを温める。雨粒の跡がまだ路面に息づき、朝の光がそれを拾っていた。世界が動き出す音に混じって、BAJACOの鼓動が静かに返ってくる。
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「単気筒の衝動|XLR250BAJAと私の物語」第七話:松蔭の青、港の名残

夜の雨が去ったあと、世界が一度リセットされたようだった。空気の粒が澄みきって、息をするたびに胸の奥が洗われる。そんな朝に、旅はまた静かに始まる。
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「単気筒の衝動|XLR250BAJAと私の物語」第六話:たんぽぽの鍋、雨のふた

佐渡の空気は、海の匂いに少しだけ土の温度が混ざっていた。フェリーの鉄の音がまだ耳の奥に残っている。BAJACOのサイドスタンドを立てると、足裏に島の硬さが伝わってきた。旅の一日が、また静かに始まる。
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「単気筒の衝動|XLR250BAJAと私の物語」第五話:小木の岸、ほどけない結び

朝の光が差し込む船内で、エンジンの音もまだ遠く、波の気配だけが耳に届いていた。旅の始まりには、いつも少しの不安と、胸の奥が熱くなるような高揚が混ざり合う。この日も例外ではなく、フェリーが動き出すたびに、心の中の地図が少しずつ広がっていくのを感じていた。何かが変わる、そんな予感がしていた。
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「単気筒の衝動|XLR250BAJAと私の物語」第四話:”かっぱえびせん”飛び立つフェリーの朝

野営の朝は早い。というより、バイク乗りの朝はなぜか早い。せっかちだからかもしれないし、日の出とともに動き出す旅の本能かもしれない。それでも私は、出発前にカメラを手にする時間だけは欠かさない。いつだって「何かを残しておきたい」と思っていた。この日もまた、カメラ片手にBAJACOに「おはよう」と声をかけ、旅が再び動き出す。
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「単気筒の衝動|XLR250BAJAと私の物語」第三話:佐渡行き、強風待機の野営場

朝一番で佐渡汽船に電話するも、返ってきたのは「午前は無理、午後も難しいと思われます」窓の外は気持ちの良い青空なのに、港へ向かうと目の前には大荒れの日本海が広がる。BAJACOのサイドスタンドを風下にしておかないと倒れるほどの強風。
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「単気筒の衝動|XLR250BAJAと私の物語」第二話:BAJACOと迎えた試練の嵐

名古屋の朝、BAJACOに荷物を積み込みながら、私はこれから始まる長距離ツーリングに心を踊らせていた。しかし、天候は急変し、雨と風が容赦なくBAJACOと私を叩きつける。
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「単気筒の衝動|XLR250BAJAと私の物語」第一話:待たせたね、BAJACO

2013年3月、名古屋の港。長距離の仕事から帰ると、駐車場で彼女が待っていた。鹿児島から陸送され、ようやく私の元へやってきた。封筒には、オリジナルのキーが2本。